1999オールジャパンTO研修報告書
1999年(平成11年)1月4日〜5日、我々山口県TOチーム(奥野、兼重、河村、小坂)は、初めてオールジャパンへ参加した。担当したゲームは以下の男女2回戦の計4ゲーム。
4日(女子) シャンソン − 武庫川女子大 三井生命 − 日体大
5日(男子) 日体大 − デンソー NKK − 日立大阪
また、分担は、スコアラー…小坂、タイマー…兼重、30秒タイマー…奥野、Aスコアラー…河村であった。以下、そのときに感じ、考えたことである。
<TOの施設は?>
日本一を決める大会で,しかも会場は,いわばケイジャーにとっての甲子園,代々木第二体育館である.どんなにすごいセッティングなのだろうと想像していたのだが,何ともシンプルなセッティングであった.(準決勝や決勝はどうか知らないが,少なくとも我々の担当した男女2回戦は) 場内放送による選手紹介があるわけでもなく,ゲームは90分刻みで淡々と進められる.TOは原則4人で行い,特にテクニカル・コミッショナーが座るようにもなっていない.TOの控え室もなかった.日本リーグでやるようなサブスコアの記録もなさそうである.TO関連の装置も,電光表示装置は各プレィヤーのファウルの数まで表示される,おそらく国内最高の施設であるが,テーブルでのファウルの表示は,電光表示でも何でもなく,県内でもお馴染みの積み木と番号を書いた札である.
<恐ろしい出来事>
我々が担当のゲームを終えて、ギャラリーから見ていたゲームでの出来事である.ゲームはずっとシーソーゲームであったが,残り5分の段階で,AチームがBチームを3点リードしていた.リードされているBチームが攻撃していたが,Aチームもよく守っていて,30秒の残り1秒まで頑張り,スティールからルーズボールの状態となった.その瞬間,30秒タイマーはなんと30秒計をリセットしてしまったのである.ボールはAチームの選手にも触れたが,それは保持ではない.Aチームのベンチからは当然のごとく猛烈なアピールがあったが,ゲームは止められることなく続けられ,再び30秒の攻撃時間を得たBチームが1ゴールを決めてAチームのリードは1点となってしまった.その後,試合の流れは明らかにBチームに傾き,結局Bチームが5点差で勝ってしまった.
審判のミスジャッジでも同じだが,30秒タイマーの1度のミスだけが原因でAチームが負けたとは言えまい.しかし,あのミスがなかったら試合の流れはどうなっていただろうかということを考えないわけにはいかない.TOの仕事の重要さを再認識させられた次第である.
以下、各メンバーの仕事について。
<スコアラー>
皆の協力なくしてできない.得点やファウルのたびの確認,CTOの予測,CTOや交代の申し出と取り消しの確認,交代する選手の確認…など,スコアラーのはたすべき仕事は多く,とうてい一人きりではやりきれない.アシスタント・スコアラーだけでなく,すべてのメンバーの協力が必要であるということを実感した.
スコアラーである小坂は,ランニングスコアを反対のチームにつけるという初歩的なミスを一度やってしまったが,アシスタント・スコアラーの声による確認のおかげで直後に自分のミスに気づき,その場で修正して事なきを得た.スコアラーの記入ミスは許されない.一旦ファウルの数や得点がずれてしまえば,そのずれは最後まで続くからである.そのために,ファウルや得点の度のしつこいほどの確認が必要であると言うことを再認識した次第である.
テーブル・オフィシャルズの心構えには、「スコアラーを中心とした声による連携が成功の鍵である」とあるが,それは,他のメンバーが,スコアラーを助けるというのが本質ではないだろうか.
<スコアラーの仕事におけるいくつかのポイント>
@CTOの予測
ゲーム展開やコーチの動きなどから積極的にCTOを予測しておく必要がある.周りのメンバーと,「ここでもう1ゴールやられるとタイムアウトがほしいところだな」などと話し合うことは大いに意味がある.
ACTOの合図のタイミング
タイムアウト請求器を使用しているゲームで,タイムアウトが請求されている場合,フィールド・ゴールの後なら間髪入れずに合図をならすべきだが,ヴァイオレィションやジャンプ・ボールの後の場合は,少し間を取った方がよい.というのも,選手交代さえできればタイムアウトは必要ないということで,CTOの請求が取り消される場合があるからである.そのようなケースが数回あった.なお,ファウルの場合は審判のコールの後に合図することは言うまでもない.
Bいくつかの事象が重なったときの確認
ファウル,バスケットカウント,両チームの選手交代などと,いくつもの事象が重なった場合,確認すべきことが多岐にわたり,それをすべてスコアラー一人で確認するのは非常に困難である.その際,周りのメンバーが協力して確認しておいてくれたら,スコアラーはひとつのことを記録した後で,「交代してコートに入ったプレィヤーは何番だった?」と周りのメンバーに確認しながら記録することができる.
C合図はブザーが優先
CTOと交代の合図はブザーとジェスチャーでしなければならないのだが,スコアラーは片手にペンを持ってスコアシートに記入中ということも多い.そのような場合,ジェスチャーはともかく,ブザーの音だけを大きくはっきりと鳴らすことが大切である.大きな音のブザーが鳴れば,とりあえずは審判に伝わる.
<タイマー>
30秒タイマーに比べれば,余裕があるので,スコアラーや30秒タイマーの補助の役割をずいぶん担うことができる.兼重氏はそれをよく積極的にやってくれた.
<30秒タイマー>
30秒タイマーは,やはりスペシャリストでなければならない.計測装置の操作手順は,スタート→ストップ→リセットとする場合とスタート→リセットとする場合があるが,基本的に前者のように操作するくせをつけておいた方がよいようである.でないと,リセットしてはならない場面でリセットしてしまうという危険が大きくなってしまう.
今回の4ゲームで,30秒オーバータイムのブザーが鳴った場面は一度もなかった.しかし,オーバータイムぎりぎりのところでストップ,リセットという場面は何度もあった.考えてみれば,プレィヤーもベンチもゲーム中は30秒の残り時間を見ながらプレイを組み立てている.30秒タイマーの存在意義はとても大きいと言える.
30秒タイマーは自分の仕事に専念しなければならないので、あまり他の人の仕事に口を出す余裕はない.しかし,奥野氏はよく声でアシストしてくれた.
<アシスタント・スコアラー>
電光表示板のオペレーターを兼ねていたので,忙しかったようだ.代々木第2体育館のスコアボードには各プレィヤーのファウル数が表示される.それをファウルの度に入力しなければならない分大変だったようである.河村氏はそれをよく果たし、さらに「声によるスコアラーのアシスト」も決して怠ることはなかった。
タイマーや30秒タイマーも含め、機械に対する操作の慣れ,というのはTOにおいて,案外大きな要素である.言うまでもなく,各会場ごとに装置が違い,操作方法も違うからである.
<審判>
どの審判も,コールをはっきりゆっくりとやってくれたので,スコアラーとしては大変楽だった.また,選手の交代の有無などについても審判自らがベンチの様子を見ていて間合いを取ってくれるので,非常にスムースに合図ができた.オールジャパンはすべて日公AA以上が吹いている.上記のようなことはできて当然といえば当然である.しかしこれは,すべての審判が実践すべきことであろう.
ゲーム前後に我々のメンバー一人一人と握手してくれた審判もいた.信頼感が伝わってきた.やはり審判とTOは一つのチームであるということを実感した.
<その他>
オールジャパンには,審判割りと同様に,TO割表があった.それにはゲームごとにスコアラー,アシスタント・スコアラー,タイマー,30秒タイマーの担当者の氏名がしっかり明記してある.これは少し新鮮な驚きだった.
また、各ゲームにはモップ係が配置されていたが、それはTOとはまったく独立しており、彼らがどういう立場で参加しているのか、我々にはまったくわからなかった.通常,県内ではTOとモップ係は関わりが深いので、これも,新鮮な驚きであった.
<結論>
TOをやるにあたって,事前の打ち合わせなどは特になかった.機械の操作法を多少教えてもらった程度である.わざわざ山口くんだりからTOをやりにくるぐらいだから,当然できるもの,との信頼はあったようである.
チームから何のクレームもつけられないこと.これがTOに対する最大の讃辞だと思う.その意味では,我々山口県とチームの担当した4ゲームは完璧であった……チームから,ゲーム中もゲーム後もクレームを付けられることはなかった.ただ,最初のゲームで,30秒タイマーが,一度だけ,30秒ぎりぎりに苦し紛れに放ったボールをショットと見なして計測を中断したことがあった.ゲーム後,それはTO委員長よりきびしく指摘された.
4ゲームを経験しての結論は,日本一を決めるオールジャパンの試合も,山口県内の試合と何ら変わることなどない,ということである.そして、我々の目指すものは決して間違っていない、ということが確認できた。今後は、この経験を県内に広められるよう努力したい。
以上をもって、オールジャパン参加の報告とする。乱文は御容赦いただきたい。(報告者:小坂祐三)